地域ぐるみで防災教育
柏崎市小中学校PTA連合会の主催による、2017家庭・学校・地域との連携・協働・研修大会が、「中越沖地震から10年 地域ぐるみで防災教育」をテーマにアルフォーレを会場に行われました。講師は渡邉真龍前岩手県釜石市立釜石小学校長様でした。あの「釜石の奇跡」で知られるところです。なぜこう言われているかというと、当時釜石小学校は東日本大震災が起こった時間は全校児童が下校後だったのです。地震がきた時に海岸で釣りをしていた子どももいたとのことです。それにもかかわらず、全児童が無事に震災を乗り越えたのです。子どもたちは普段から学校で行っている避難訓練の行動をそのまま実行できたのです。
演題は「『釜石の奇跡』と呼ばれた子どもたち~防災文化をどう創るか~」でした。以下印象に残った言葉です。
〇災害は歴史に忠実である。柏崎でも1300年前に大地震と大津波を経験している。
〇原発も「ある」という現実を踏まえ、知恵を出し合う方がいい。
〇地域防災は子どもたちと手を組んで行わないといけない。
〇なぜ子どもに防災教育をするのか?→子どもが真剣に行動すると大人も真剣に行動するものであるから。
〇釜石の奇跡と言ってほしくない。何年も学校で学んだことをやっただけでまぐれなどではない。
〇どんな子どもになってほしいか。「自分の頭で考え」「自分で判断し」「自分で行動する」。
〇「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」。→一番先に逃げる者が勇者だ。
〇学校・市・町内会がツーカーでないと避難所運営は難しい。主催は地域住民。
〇行動にスイッチを入れるものは、誰かの命を助けるという気持ち。その気持ちを育成するために防災訓練をする。人を助けるために自分の命を守る。自分は生きる。
〇被災した中学生の卒業式の答辞の言葉の中に3つの「命」が書かれていた。「自分の命」「災害が来たという運命」「人を助けるという使命」。
〇防災教育は究極の「心の教育」ではないか。判断する基盤には「愛」が不可欠。
第2部として防災クロスロードゲームを行いました。「災害時、あなたならどうする?」ということでフロアの人も赤と青のカードを出して自分の意見を表示しました。そこでも解説・指導として以下のことを学びました。
〇自分は被災しないという正常性バイアスをもたないようにする。(正常性バイアス:自分にとって都合の悪い情報を無視する。まだ大丈夫などと過小評価する)
〇クロスロードゲームなどで、災害に対しての他人事でない姿勢を見せ、災害に対する主体性を育むことが大人の役割。
〇主体性を育むため、インターネットにもアップされ、教材化してある「防災巻」を活用するとよい。
講師の渡邉先生の迫力ある口調と、実際に体験したことによる深さのある内容は本当に聞いてよかったと思えるものでした。しかし、時間的なこともあり、内容的には抜粋したもののようでしたので、数回にわたる講座としても受講したいと感じました。教育としての視点だけではなく、防災士、行政の立場としても勉強するべきだと思いました。
渡邉先生、ありがとうございました。
また、配布された資料の中に「柏崎刈羽地区 中学生メディア共同宣言」が同封されていました。このメディア、特に携帯やスマホの扱い方も、親子で考えてほしいと思います。前に一般質問させてもらいましたが、これこそ「柏崎の文化」にしていけるといいと思っています。