日本への遺言
これは「地域再生の神様『豊重哲郎』が起こした奇跡」として書かれた本の題名です。豊重哲郎さんは地域創生について学んだ人、学ぼうとしている人は知らない人がいない、と言われるほどの方です。鹿児島県鹿屋市の中の小さな集落のいわゆる町内会長です。地域創生などというと自治体の首長が思い浮かびますが、豊重さんはそんな政治家ではないのです。この本には、豊重さんが人口300人ほどの集落、柳谷地区の会長を55歳で受けてから今日に至る20年間ほどの間で取り組んだこと、考え方、信念がつづられています。
地域創生、地域再生という言葉から、市や県や国からどんな補助金をもらいそれをどう活用しているのかということなのかを想像していましたが、全くそうではありませんでした。目が拓かされる思いがしました。以下にいくつかのセーセンテンスを書きますが、ぜひ本を購入し、お読みいただきたいと思います。
・補助金だよりになると制約が増えるばかり。自立心が失われ、真に地域のためにはならない。一言で言えば、自主財源を作り出すことだ。
・持続可能な消滅しない地域づくりはやはり、文化と子どもがキーワードです。
・地域の不便を解消するには、経済力が必要だ。行政に頼らず、何とか自主財源をつくり、地域再生を果たしたい。
・集落で生産したサツマイモでオリジナル焼酎「やねだん」を製造した。
・国とのパイプの太さをアピールし、補助金や公共事業を獲得するため、頻繁に東京に出張することがリーダーの役割ではないと思う。住民と向き合い、絆を深め「総力戦」の体制を整えることが必要である。
・行政は現場を知らない。現場を知らないのに机上で企画して予算を計上するのです。だから地域が踊るわけはない。
など、かなり厳しい言葉が多いのですが、実際にご自身で20年間積み重ねてきたことで、実績も収めていることですから、その言葉の重みはすごいです。