防災ヘリ バゲットの訓練

消防と防災ヘリは連携して活動することがたくさんあります。そのための訓練を怠ると、いざという時に適切な活動ができません。今日は消防と防災ヘリとの「バゲット」訓練を見学させていただきました。今日の訓練は一般に広報しているものではなく、消防署内で計画的に行っている訓練の一環としてのものだったようです。そのため防災士の方やたまたまそこに居合わせた方が見学できたものでした。防災ヘリを使った訓練のため、災害が発生した時には防災ヘリは出動しますのでこの訓練ができないために広報していないのでしょう。



さて、「バゲット」とは、山火事などが起こったとき、ヘリコプターから水を水槽というか袋状のものに入れて、上空から水をまくことがありますが、そのときに使う袋状のものです。
テレビ映像などでは見ることがあっても、実際に見ることはありませんでしたので、貴重な体験でした。今日の訓練は消防にとっては、そのバゲットへの給水の訓練ということです。
ヘリにバゲットをつけ、上空でホバーリングをしている間に、ホースからバゲットに給水します。一見簡単そうに見えますが、バゲットをヘリコプターに装着することも確実に行わないといけませんし、ヘリコプターのホバーリングの操縦は難しいです(横風に弱いそうです)し、給水のためにヘリの真下に行くのですが、作業時のその風圧というか風の強さもかなりです。
バゲット給水訓練以外にも、地上にいる負傷者を上空でホバーリングしているヘリに引き上げる訓練もしていました。

9月24日に全市一斉防災訓練を実施し、その時にはドクターヘリと防災ヘリも来て、その救助の様子を見ることができたのですが、今日の訓練は一般には公開されていない訓練でしたので、「見せる」という要素を取り払い、実際の救助そのものという緊迫感のある訓練でした。
昨日も記したように、新潟県には防災ヘリは1機しかありません。今日は災害が発生していなかったため、柏崎の訓練に来ることができましたが、災害が発生していたら今日の訓練はできなかったのです。
今日の訓練の時に実際に防災ヘリに乗って活動している方(消防士です)にいくつか質問をすることができました。操縦席も見せてもらえました。
・燃料は灯油系のもので、満タンにして出動して1時間くらいの活動ができる。燃料が多いとホバーリングするのに安定性がなくなるので、現場でそれが必要になったときには、燃料を消費して機体を軽くするか、隊員を一人降ろすかしてからホバーリングして救助する。
・機体は通常は新潟空港にある。新潟から柏崎までは20分くらい。負傷者を東京などの病院まで運ぶこともある(これはドクターヘリではなく防災ヘリで行うのです)。柏崎から東京まではおよそ1時間10分、仙台まではおよそ1時間くらいで行く。
・バゲットには1トンくらいの水を入れられる。それも機体の重量の関係で、多くの水をバゲットに入れるときには燃料を少なくする。

一般の方から消防は火事が起こっていないときは暇でいいなあ、と言われることもあるそうです。理想は消防の方々の仕事がないことが一番なのでしょうが、そういうわけにはいきません。消防は人の命を背負い、財産を守る使命があります。「いざ」という時にミスをせず、使命を果たすことが当たり前という面があります。ミスをしないためにも普段から訓練を怠らず、自身の体を鍛え、必要な知識や技能を習得することをしておかなければなりません。今日の訓練を見ていると、消防士には暇な時間など1秒もないと思いました。
また、昨日も書きましたが、最近は2階の消火をする際に1階にできるだけ浸水しないようにシートをかけたりと、配慮をするとのことでした。実はここ最近、東京の方では消防が訴えられることが少なくなくなってきた、とのことです。無駄な放水をして水浸しになったから何とかしろ、など様々なことがあるのでしょう。東京の消防ではこうしたことへ対応するために法律に詳しい人を採用して、専門に対応しているようです。難しい世の中になってきました。
皆様、火事には十分お気を付けください。