自治体議員の基礎講座研修1日目
今日明日と東京での個人研修として講座に参加しています。自治体議員の基礎講座です。今日は、マーケティング視点を活かした政策の発信についてのテーマでした。講師は、永田潤子大阪市立大学大学院教授です。以下、印象に残ったいることです。
○マーケティングの視点とは、「理解」と「共感」。
○マーケティングの基本。従来の購買プロセスはAIDMA(アイドマ)の法則だった。近年はAISCEAS(アイシス)の法則に変化してきた。
アイドマ…A(注意)I(興味関心)D(欲求)M(記憶)A(行動)
アイシス…A(注意)I(興味関心)S(検索)C(比較)E(検討)A(行動)S(情報共有)
○チラシを見るかどうかを1秒で判断している。
○チラシには疑問文で書くと自分に言われているように感じ共感のコミュニケーションにつながる。
○チラシは待ち時間がある病院や銀行の前で配布すると効果的。
○子育てに関する市の配布物は、保育園の園だよりと一緒に配ってもらうと効果的。
○I(アイ)メッセージは共感を得られ、You(ユー)メッセージでの称賛は上から目線に感じる。
○市の情報誌で市民の傾向を訴えるとき、100人の村に置き換えるとイメージしやすくなる。
○アンケートに答えることでそのことに関わりをもつことになり、継続して関心をもってもらえる。
○市としての方向性を伺う、という問いかけではなく、私たちはどうすればいいのか、という言葉の方がよい。
○子どもの健康格差問題が今は大きな問題になってきた。
○男性が多い集会では自分の肩書を、女性が多い集会では自分のエピソードを話すことが効果的。
○議員の専門性とは、総務省の地方議会に関する研究会報告書によると、
特定の政策分野に関する高い専門性知見を有しているという意味のほか、地域の政策課題を的確に把握し、必要な情報収集を行いながら、議会における政策提言、立案等を行う。合議体の議会において、意見集約し合議を得るための調整能力等。住民の納得性の観点からは、説明の説得力。とされている。
○議会の機能、役割は、団体意思決定機能、監視機能、政策形成機能の3つがある。
○参加と参画を同じように使ってはいけない。参加は意見を聴くなどであり、参画は意思決定に関わるということ。
○何かが変わることには閾値を超えることは必要。逆にいうと、閾値を超えるとものごとは一気に変わっていく。閾値とは30~35%。
○日本語の「問題」に対応する英語は4種類、トラブル、プロブレム、イシュー、クエッション。
トラブルとは、困っている状況。プロブレムとは、状況が発生している原因。イシューとは、現状の何を変革するべきかという課題。クエッションとは、課題を解決するための具体的な懸案。
○一人一人の市民がもっている悩み、こうだったらいいなあという思いのことをニーズという。ニーズを誰かが認知してそれが問題だと考えることが政策課題になる。つまり、現状と望ましい姿との差を埋めること。望ましい姿を描いていないと政策課題はあり得ない。一人一人の市民と近い小規模自治体ではこのニーズの把握は難しくないが、大きな自治体だとNPOや市民団体や類似団体の動向を見ていなければならない。
○「問題」という言葉を使っている限り他人事のままである。「課題」という言葉になると、原因を分析していることになる。困っている状況を訴えているだけでは政策形成にはならない。困っている原因までさかのぼり、望ましい姿と比べてどうすべきかを考えることが政策形成になる。起きている問題(事実)だけをとらえ、それを良いとか悪いとか言っていても本質的な解決にはならない。
○プロフェッショナルな議員とは、資格をもっている人(選挙に通った人)、特定のスキルをもっている人、仕事に対する真摯な態度や姿勢がある人。そして、必要な成果や業績を上げている人。
○議員に必要な能力の一つが、概念化能力である。概念化能力とは、ものごとの本質をとらえ意味づけを図り、抽象化、総括化し、外的な適応を図っていく思考。その習得のためにはアウトプットさせる訓練が必要。
今回の研修は議員としての資質向上の研修でした。特に何かを発信する場合は発信者目線でものを考えるのではなく、受け手側に立って発信するものを見ていくことがマーケティングの視点であることを学びました。個人的に発行している報告書はすぐにでも手をつけることが可能ですし、議会が発行する議会だよりや市が発行するプリント等の効果的な周知方法についても機会を見つけて伝えていきたいと思います。