議会のリスク管理
昨日まで東京にいたのですが今日も東京です。朝5時過ぎに柏崎を出発して個人研修を受けました。
今日は「議会のリスク管理」をテーマに新川達郎同志社大学大学院教授を講師としての研修でした。
前から記しているように個人的には「防災」が物事を考える上での一つの視点になっています。ですから防災士としての研修や危機管理士の取得に努めています。しかし、「議会」としての防災あるいはBCPに特化した研修はなかなかありませんでした。以下は今日の研修の抜粋です。
○議会基本条例の中にも災害や危機にいかに対応していくのかは記されてあるべき。
○想定内で済むことは絶対にないと考える。
○2つの視点「リスクマネジメント」(予防・準備・防災対策)と「クライシスマネジメント」(被災時の管理・行動)が大切。
○議会が議会としての機能を継続させていくことが議会BCP。
○議会と危機管理
・7月の豪雨では58の自治体が関わっている。
・リスクとクライシス双方の意味を含めた危機管理概念が一般的に危機管理の定義。
・防災は完全にはできなので減災の対応となる。
・パブリックガバナンスとして社会全体としての危機を考えて、リスクコミュニケーションの大切さを日頃から理解しておくこと。
・リスクマネジメントからリスクガバメントへ。単体では対応しきれないのでいかに他と協力していけるか・多主体による危機管理の協治化。議会もリスクガバメントの担い手である。
・地域防災計画は、予防段階の対策・災害応急対策・復旧復興対策の3つの柱立て。
・大規模災害発生時には対口支援方式を取り入れていくので、図上訓練も必要。
○議会と災害
・災害時議会からの電話で対策本部の電話が独占されてしまったということがある。議員個別の情報の発受信をするのではなく、支援本部としての情報の発受信をしていく。
・災害対応は執行機関の権限で行われる。地域防災計画には議会は一切出てこない。だからといって議会としては何もしなくていいのではない。
・災害時の議員の役割としては、消防団員・自主防災組織の役員・救援活動への関与・被害状況の把握・情報収集・執行機関との連絡・復旧時の連絡役・どんな支援が在るのかなどの情報発受信・執行機関への働きかけ・情報不足の被災者への状況の発信、などがある。
・避難所ではきめ細かくニーズを把握し、改善対応を検討していく。
・議会として災害の予防から復旧までのプロセスで考える。
○議会BCP
・執行機関として災害対応がしっかりできているのかをチェックしていく。
・本会議や委員会を開催できる機能を備えた施設や場所を、議会とパートナーシップ協定を締結しておく大学やホテルを考えておく。
・議会の防災訓練としては図上演習も効果的。
・災害対応マニュアルは議会BCPの一部と捉えられる。
○議会と復旧計画
・法的には執行機関のみの関わりとなっている。復興計画は執行側が策定するものであって、議会は意見を求められるが計画の担い手ではない。権限ある発言はできない。
・復興まちづくり計画を議会の議決事件としていこうとしている自治体もある。
・防災計画しかり復興計画しかり、議会としてもしっかりと関わっていく必要があるのではないか。チェック機能として、それが住民にとってふさわしいものなのかを見ていく必要がある。
・防災協力協定を他の自治体の議会間で結んでおくことも必要ではないか。
・広域的なネットワークを縦へも横へも広げていく。水平が議会間で垂直が県や国と考える。
現在柏崎市としてはBCPも議会としてのBCPも策定していません。市としては中越沖地震を踏まえ、その時の動きとしての申し送りはできているので策定までは進めないとのことですし、議会としては災害対応マニュアルがあるので今のところはここまでにしておこうとしているのではないかと思います。しかし、今後は一歩進めるためにもBCPについて考え、その策定に向けて検討していかなければならないと思います。また、柏崎でいう議会の災害対策支援本部と当局側の災害対策本部の関わり方については、どこの自治体でもその課題は共通のものがあるのだと感じました。議員として出しゃばり過ぎて当局側に迷惑をかけてはいけません。
新川先生、ありがとうございました。