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六ケ所村原子燃料サイクル施設の視察

今日は日本原燃の原子燃料サイクル施設を視察しました。燃料サイクルという呼び方をしていますから、分かりやすく言うと、原子力発電所から出る「使用済核燃料」の中からもう一度燃料とし再利用できる物質を取り出していくための「再処理」をする、ということです。日本原燃では、これだけではなく、いくつかの事業を行っています。「濃縮事業」「埋設事業」「再処理事業」「廃棄物管理事業」「MOX燃料加工事業」です。

原子力発電所の燃料はご存知の通り人体には大変危険有害な物質です。燃料として使う前も、使った後の使用済燃料になっても、その危険性は続きます。ですからその使用済みの燃料を処理貯蔵して、しっかりと管理していく必要があります。日本原燃ではその放射性廃棄物を「低レベル放射性廃棄物埋設センター」「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」で埋設貯蔵管理しています。

PRセンターで説明を受けたのち、各施設の見学をしました。各施設の標示板は出ていなかったり、入口は1つしかなかったり、入場のセキュリティーは大変厳しく、何重にも安全対策を考えていることが分かりました。入場後の通路も一直線になっているところが少なかったりしました。もちろん写真はNGです。

○六ケ所村は6つの村が合併してできた村。現在は人口およそ1万人。

○「ウラン濃縮工場」→天然ウラン鉱石にはウラン235の含有率が0.7%程度しかなく、これでは燃料として使用することができない。それを3~5%にまで濃縮していく工場。ウラン濃度については、核兵器に使用するのではないかという見方もあるので、IAEA核査察官が24時間体制で厳しく監視している。1992年3月から操業。

○「低レベル放射性廃棄物埋設センター」→各原子力発電所で出た低レベルの放射性廃棄物を黄色のドラム缶(上の写真参照)に詰めたものを運び込んでいる。六ケ所村のこの施設にはドラム缶300万本を埋設できるが、2016年12月末現在、1号埋設(均一固化体)及び2号埋設(充填固化体)合わせておよそ30万本分埋設してある。現在、全国の原子力発電所内には合計68万本分があるとされている。原子力発電所が稼働しなければ今後著しく増え続けることはないが、各原子力発電所にあるドラム缶は随時ここに運び込まれてくることになる。1992年12月から操業。

○「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」→フランスとイギリスから返還されるガラス固化体(キャニスター)を最終処分するまでの間、冷却のために貯蔵する施設。この施設にはキャニスター2880本分の貯蔵容量がある。現在フランスから1310本、イギリスから520本が返還されている。フランス分は終了したが、イギリスからはあと400本程度の返還がある。この施設で30~50年中間貯蔵する。ただし、日本では最終処分場、方法等はいまだ決定していない。1995年4月から操業。

○「再処理工場」→多くの原子力発電所では主にウラン235を燃料としている。使用済燃料の中にはプルトニウムとまだ使えるウラン235が含まれているので、再処理してそれらを取り出し、もう一度ウラン燃料やMOX燃料の原料として使えるようにするのが再処理工場の役割になる。この工場が稼働すると年間800トンの処理が可能になる。現在、この施設に運び込まれ、プールに貯蔵されている使用済燃料はおよそ3000トンあり、受入容量ほぼいっぱいになっている。工場でアクティブ試験として2006年と2008年時に再処理を実施(425トン分)してはいるが、2018年度上期に竣工予定であり、いまだ稼働していない。そのため、全国の原子力発電所からの使用済燃料の受け入れは今はできない状況。ちなみに全国の発電所内にある使用済燃料は約14000トン。

○「MOX燃料工場」→再処理工場で取り出したウランとプルトニウムを混ぜ合わせて作ったものがMOX燃料。このMOX燃料を通常の原子力発電所で利用することを「プルサーマル」という。ちなみに柏崎刈羽原子力発電所では行われていない。2019年上期に竣工予定。

○国際原子力機関(IAEA)から査察官が来ており、24時間体制で監視している。施設内には監視カメラが110台設置されている。特にウラン濃縮において、濃度が5%以上になっていないかについての独自検査を行っている。

原子力発電所は、経済やエネルギーの安定や発展のためにも「なくてはならないもの」とか、危険な施設だから「すぐにもなくさなければならない」とか、両極端ではありますが、人ぞれぞれの考えがあります。しかし、この2つの考え方のどちらか1つしかもち合わせていないような人は誰一人いないと思います。原子力発電所を考えたとき、その人の発言や行動はこの2つの考え方の優先度だと思います。柏崎には現に原子力発電所があります。そこでの仕事を生活の柱としている人も少なくない現状があります。一方、万が一の時はふるさと柏崎では生活できなくなるかもしれません。原子力発電所が稼働するためには、今回視察させていただいたような埋設施設や貯蔵施設などが必要なことは確かです。このように発電所を支えている仕組みや施設を学ぶことも大切なことだと思いました。今回の視察で、視野が広がり、引き出しも増えました。

施設の外には風力発電用の風車が92基あったり、太陽光発電用のパネルが一面に張ってあるある場所もありました。六ケ所村は、原子力だけでなく、再生可能エネルギーのまちでもあるという印象でした。また、三沢市をはじめ、近隣の住民の方々も気さくで温かく、青森はいいところだなあと感じました。

今回の視察は私の高校の同級生相澤さんからいろいろとお世話いただきました。よき友をもって幸せです。今回案内、説明してくださった赤坂部長、相澤部長をはじめ日本原燃の方々、大変ありがとうございました。

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